冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)、冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

儚くもろいもの。そっとしまい、鍵をかける。
強固な堅牢なそこは、ひどく乾いて閑散とし、得るものもないが失うものもないのだ。
冷静と情熱のあいだ
この作品の中で、描かれるものすべてがそうだ。
順正の生き方、愛し方。
あおいの生き方、愛し方。
芽実の生き方、愛し方。
マーヴの生き方、愛し方。
それぞれそうなのだ。
人はそうであって当然なのだ。
何度も映画を見つつも、おざなりにしていたその原作。
初めて手にした。読んだ。
映画のイメージをなぞりながらでも、登場人物の動きを感じ、指を這わせ、心を添わせる。
辻仁成は破壊力があり、江國香織はやわらかい。
ひどくいいのだ。