シェエラザード(上) (講談社文庫)、シェエラザード(下) (講談社文庫)、太陽の子 (角川文庫)

シェエラザード(上) (講談社文庫)

シェエラザード(上) (講談社文庫)

シェエラザード(下) (講談社文庫)

シェエラザード(下) (講談社文庫)

日本人が失ってしまったもの。
戦時中、金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸の引き揚げ話から展開する戦争の悲惨さ、悲劇の運命。
現代と過去をリンクさせ、非常に読みやすい作品ですが、読後に残るのは、感動ではありません。
戦争というものの悲惨さを、狂気さを考えると、感動などできません。
この作品は阿波丸事件という、戦時中に起きた現実の事件を題材に書かれたフィクションです。
実際に、作中で起きたようなことが起きていたのだと考えると、胸が苦しくなります。
多くの罪もない人々を乗せたまま沈んだ阿波丸。
日本人であるということを考えさせられましたし、戦争についても考えさせられる作品です。
そして、そこには決して忘れてはならないことがあります。

太陽の子 (角川文庫)

太陽の子 (角川文庫)

戦争はまだ終わっていないのです。
沖縄と戦争。
悲しい過去を持つからこそ、人にやさしくできる人々。
目を背けてはいけない現実。
過去に目を向け、しっかりとそれを背負うこと。
未来に向かって、生きていく強さ。
それらをひどく痛感させられましたし、また、自分を見直すきっかけにもなりました。
それはすごく大切なことです。