HOPE

稲光。赤く見えるほど。それほどまでに近くにあるのに。なぜ、俺に落ちないのだろう。家族や、関わってきた人々には申し訳ないが、死ねばいいと思う。消えてなくなってしまえばいいと思う。それがよいのだ。存在がなければ、円滑なのだ。変に執着したのは誰だ。固執したのは誰だ。紛れも無く俺だ。俺自身が罪であり、その全てが悪なのだ。なくなってしまいたい。心底そう思う。一人で勝手に死ねばよかったのだ。結局じゃないか。傷つけているのだ。欺瞞や憤懣。気づけなかった自分。いや、気づいていたのだ。目をそらしたのだ。臆病。貝のように閉じこもるなら、そうしていればよかったのだ。そうなれなかった自分。ひきずる。何を。反省、後悔、自己への弾劾。悪いのは俺であり、それが事実なのだ。避けられないのだ。いくら雨に打たれたところで悪は流れえないし、いくら吐いてみたところで胸の罪悪感は出てこないのだ。
それでも。
それでも。
それでも。
顔は前を向いている。目は前にしかついていない。つま先もそうあるのだ。前に進むようにできているのだ。方向が正しいのかどうかではなく、今までと同じ地点ではない。進んでいるのは確かなのだ。何を背負っても、何を抱えても、立ち止まらなければ、やがて視界は開けるだろう。